2019年

2020年01月10日

Cytori Cell Therapy™技術に関する日本での新たな特許取得のお知らせ

サイトリ・セラピューティクス株式会社(以下「サイトリ」)は日本国特許庁より「疼痛及び/又は線維症の調節において脂肪組織由来細胞を使用する方法」について特許査定を受け、このたび特許登録(特許第6622189号)が完了しましたのでお知らせいたします。当該特許には、レイノー現象や手指硬化症などの全身性強皮症(以下「強皮症」)による疼痛および線維化の抑制ならびに血管症状の治療を目的とした脂肪組織由来再生(幹)細胞「ADRC」の使用に関する18の請求項が含まれます。

この特許の追加により、サイトリの機器、技術、および「ADRC」のさまざまな臨床使用に関し、日本で取得済みの15の特許からなる既存の知財ポートフォリオが強化されます。

強皮症患者の手の機能障害の治療における「ADRC」の使用については、米国で患者88人を対象とした19施設での前向き二重盲検ランダム化比較試験が実施されました。試験結果から、「ADRC」による治療は安全であることが確認され、特にびまん型強皮症の被験者において有効であることが強く示唆されました。当社は日本でも臨床治験を実施することを検討しています。

強皮症について

強皮症はまれな慢性結合組織疾患で、一般に自己免疫性リウマチ性疾患に分類されます。日本での強皮症患者は20,000人以上と推定され、男性より女性の罹患数がはるかに多く、男女比はおよそ1:12です。日本では、強皮症は厚生労働省により特定疾患(難病)に指定されています。1

強皮症は全身性強皮症ともいわれ、皮膚や内臓など、身体の多くの部位の結合組織に影響を及ぼします。手の機能障害は強皮症患者によくみられる症状で、炎症性関節炎または関節の炎症、関節拘縮、レイノー現象(寒冷刺激や感情の乱れ、ストレスに反応して血管が収縮することで生じる皮膚変色)、指潰瘍、手の腫脹や手指の皮膚線維化、手の軟部組織への石灰沈着などがあります。これらの症状は併存することが多く、職業活動や日常生活動作を困難にする場合もあり、生活の質を低下させるおそれがあります。現在推奨されている治療では内臓病変の管理に重点がおかれ、手の機能障害に使用できる治療は、ほとんどなく、アンメットニーズとなっています。

 1難病情報センター「全身性強皮症(指定難病51)」: https://www.nanbyou.or.jp/entry/4026 (2020年1月10日)

サイトリについて

サイトリ・セラピューティクス株式会社は、多様な疾患治療を目的とした自己ヒト皮下脂肪組織から採取した非培養脂肪組織由来再生(幹)細胞「Adipose Derived Regenerative Cells (ADRC)」を用いた細胞治療を開発しているセルセラピー企業です。各種前臨床試験の論文において、ADRCが血管新生、抗炎症、および繊維化の改善に関与していることが示唆されています。詳しくは、https://www.cytori-jp.comをご覧ください。

リリース全文

 

2019年12月25日

男性腹圧性尿失禁治療に関する医療機器の国内承認申請のお知らせ

サイトリ・セラピューティクス株式会社(以下「サイトリ」)は、本日、サイトリが開発した高度管理医療機器であるセルーションセルセラピーキットについて、男性腹圧性尿失禁の治療の医療機器として、厚生労働省に製造販売承認申請を行いましたのでお知らせいたします。

なお、本医療機器が承認を得た場合、国内では初の脂肪組織由来再生(幹)細胞(Adipose Derived Regenerative Cells、 以下「ADRC」)を用いた男性腹圧性尿失禁の治療となります。

2015年9月より、名古屋大学医学部附属病院泌尿器科の後藤百万教授を治験調整医師として、金沢大学附属病院、信州大学医学部附属病院、獨協医科大学病院との多施設共同治験を男性腹圧性尿失禁の患者に対して、日本で初めてADRCを用いた再生医療の医師主導治験(以下「本治験」)が実施され、2019年11月に終了しました。本治験の詳細は、こちら(【共同発表】非培養自己ヒト皮下脂肪組織由来再生(幹)細胞を用いた男性腹圧性尿失禁治療 に関する国内治験の終了に関するお知らせ:https://www.cytori-jp.com/news/)からご覧いただけます。この度本治験の終了に伴い、製造販売承認申請を行いました。来年には本治療の薬事承認を目指してまいります。

腹圧性尿失禁について

腹圧性尿失禁は、尿道括約筋機能の障害により、腹圧負荷時に尿が漏れるものです。女性においては妊娠・出産・加齢による骨盤底筋群の脆弱化や婦人科的手術による括約筋障害に起因し、本邦では約400万人の患者がいると推定されています。また、男性においては前立腺肥大症、前立腺癌の手術における括約筋障害により引き起こされるケースが多くみられ、女性に比べれば頻度は低いものの数万人の罹患者がいると推定されています。腹圧性尿失禁は直接生命にかかわることは稀でありますが、日常生活の多くの領域で支障を及ぼし、生活の質(QOL)を著しく障害する疾患です。特に男性の腹圧性尿失禁は、前立腺肥大症、前立腺癌手術後の罹患率が非常に高く、生活の質を障害するものであること、また低侵襲で治療効果の高い治療法が現存しないことから、新規治療法の開発が急務とされています。1

1後藤百万:自己脂肪組織由来幹細胞を用いた新たな尿失禁治療.泌尿器外科.2016;29(1):3-7.

サイトリについて

サイトリ・セラピューティクス株式会社は、多様な疾患治療を目的とした自己ヒト皮下脂肪組織から採取した非培養脂肪組織由来再生(幹)細胞「Adipose Derived Regenerative Cells (ADRC)」を用いた細胞治療を開発しているセルセラピー企業です。各種前臨床試験の論文において、ADRCが血管新生、抗炎症、および繊維化の改善に関与していることが示唆されています。詳しくは、https://www.cytori-jp.comをご覧ください。

リリース全文

 

 

2019年11月27日

【共同発表】非培養自己ヒト皮下脂肪組織由来再生(幹)細胞を用いた男性腹圧性尿失禁治療 に関する国内治験の終了に関するお知らせ

名古屋大学医学部附属病院とサイトリ・セラピューティクス株式会社は、2015年2月に医師主導治験1(以下「本治験」)の実施に係る契約を締結し、非培養自己ヒト皮下脂肪組織由来再生(幹)細胞(Adipose-derived regenerative cells、以下「ADRCs」)を用いた男性腹圧性尿失禁の治療2を目的として、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)を経由して、厚生労働大臣に治験計画届の提出を行い、2015年9月より、本治験を開始しております。

名古屋大学医学部附属病院泌尿器科の後藤百万教授を治験調整医師として、金沢大学附属病院、信州大学医学部附属病院、獨協医科大学病院との多施設共同治験を、名古屋大学医学部附属病院先端医療開発部の支援のもと、男性腹圧性尿失禁の患者に対して、日本で初めて非培養自己ヒトADRCsを用いた再生医療の医師主導治験を実施してきました。サイトリ・セラピューティクス株式会社が開発したセルーション遠心分離機とセルセラピーキットを用いて分離されたADRCs3を、腹圧性尿失禁に罹患している男性患者に投与し、有効性及び安全性を52週間評価した多施設共同治験を実施してまいりました。

このたび、治験を終了し、その結果等を取りまとめた総括報告書が完成しました。尿失禁量が中等度以下で、行動療法及び薬物療法が無効又は効果不十分、あるいは薬物療法が実施困難で、術後1年以上継続する男性の腹圧性尿失禁患者において、皮下脂肪組織から分離されたヒトADRCsを経尿道的内視鏡下で単回傍尿道周囲へ投与した時の有効性及び安全性を確認したところ、安全性は許容可能で、有効性については、予め設定していた基準を達成致しました。

名古屋大学医学部附属病院とサイトリ・セラピューティクス株式会社としては、ADRCsを用いた男性腹圧性尿失禁の再生医療の治験で有効性及び安全性が示されたことから、今後速やかに、サイトリ・セラピューティクス株式会社が開発したセルーション遠心分離機とセルセラピーキットを医療機器として、製造販売承認申請の準備に取り掛かる予定で、来年には本治療の保険収載を目指してまいります。

今後とも日本泌尿器科学会、日本排尿機能学会等とも協力しながら、腹圧性尿失禁患者の皆様への更なる貢献を目指すと共に、非培養自己ヒト脂肪組織由来再生(幹)細胞を用いた再生医療の発展を目指してまいります。

※1 実施した医師主導治験

本治験では、尿失禁量が中等度以下で、行動療法及び薬物療法が無効又は効果不十分、あるいは薬物療法が実施困難で、術後1年以上継続する腹圧性尿失禁に罹患している男性患者を対象としました。患者自身から採取した皮下脂肪組織から、サイトリ・セラピューティクス株式会社が開発した細胞分離装置である治験機器を用いて分離された皮下脂肪組織由来再生(幹)細胞を投与した後、有効性及び安全性を評価しました。

なお、本治験は、厚生労働科学研究費補助金(難病・がん等の疾患分野の医療の実用化研究事業、医療技術実用化総合研究事業及び早期探索的・国際水準臨床研究事業)、日本医療研究開発機構の早期探索的・国際水準臨床研究事業及び再生医療実用化研究事業、並びに名古屋大学医学部附属病院先端研究支援経費の支援を受け、実施しました。

参照: BMC Urol. 17(1): 89, 2017(UMIN試験ID:UMIN000017901、ClinicalTrials.gov Identifier:NCT02529865)

※2 皮下脂肪組織由来再生(幹)細胞を用いた腹圧性尿失禁治療

非培養自己ヒト脂肪組織由来再生(幹)細胞を用いることで、体外培養を必要とせず、皮下脂肪吸引から得た再生細胞の経尿道的注入を3時間程度の一連の操作で行うことから、安全で低襲侵な再生治療と考えられます。麻酔下に250mL程度の皮下脂肪吸引を行い、吸引脂肪組織からサイトリ・セラピューティクス株式会社のセルーションシステムを用いて脂肪由来再生(幹)細胞(ADRCs)を抽出し、これを経尿道的内視鏡下に注入します。ADRCsの注入は、ADRCs単独の外尿道括約筋部への注入、並びに脂肪組織とADRCs混合の尿道括約筋部粘膜下注入として実施します。脂肪吸引、ADSCs抽出、尿道注入までを約3時間程度の一連の操作で実施することができます。

参照: 名古屋大学HP
(https://www.med.nagoya-u.ac.jp/uro08/advanced/regenerative-therapy/index.html)

※3 セルーション遠心分離機とセルセラピーキットを用いて分離されたADRCs

サイトリ・セラピューティクス株式会社の特許技術のプラットフォームであるセルーションシステムは、抽出されるADRCsを用い、非培養の細胞を抽出したその日のうちに患者に投与する治療方法です。
脂肪組織内にある幹細胞は、骨髄に含まれる幹細胞と比べて2,500倍もの量が含まれていることが、さまざまな研究により実証されています1, 2, 3。さらに、皮下脂肪は骨髄よりも低侵襲で採取しやすく、少量の脂肪吸引で細胞を採取することが可能です4
サイトリ・セラピューティクス株式会社の技術では、成人患者ご自身の脂肪組織のみを用いてADRCsを調製するため、この細胞を用いた治療では、拒絶反応や疾患の伝播など、移植の際に起こりうる一般的な問題を回避することができ、拒絶反応抑制剤や免疫抑制剤を用いる必要がありません。細胞培養をすることなく、脂肪組織に自然に存在するすべての幹細胞を含む再生細胞を、人工的な操作を加えずに使用します。完全に自動化された、機能的閉鎖型のシステムで処理され、ADRCsは新鮮な状態で分離されリアルタイムで使用するため、細胞が持つ本来の機能を維持していると考えられます。

  1. Caplan AI. Why are MSCs therapeutic? New data: new insight. J Pathol. 2009 Jan;217(2):318-24.
  2. Fraser J, Wulur I, Alfonso Z, Zhu M, Wheeler E. Differences in stem and progenitor cell yield in different subcutaneous adipose tissue depots. Cytotherapy. 2007;9(5):459-67.
  3. Jurgens WJ, Oedayrajsingh-Varma MJ, Helder MN, Zandiehdoulabi B, Schouten TE, Kuik DJ, Ritt MJ, van Milligen FJ. Effect of tissue-harvesting site on yield of stem cells derived from adipose tissue: implications for cell-based therapies. Cell Tissue Res. 2008 Jun;332(3):415-26.
  4. Fraser JK, Wulur I, Alfonso Z, Hedrick MH. Fat tissue: an underappreciated source of stem cells for biotechnology. Trends Biotechnol. 2006 Apr;24(4):150-4.

リリース全文(日本語版)

リリース全文(英語版)